2024年12月12日Nabtesco Technology Ventures L.P.（General Partner：練馬 洋、以下「NTV」）は、産業用の自動運転ソリューションを開発するEmbotech社に出資いたしました。2,350万スイスフラン（2,700万米ドル）の資金調達ラウンドは、 Emerald Technology VenturesとYttriumがリードインベスターを務め、BMW iVentures、Nabtesco Technology Ventures、Sustainable Forward Capital Fund、RKK VC 、が追加出資を行いました。この資金調達により、Embotechは欧州で自動車両誘導(AVM)と自律ターミナルトラクター(ATT)の規模を拡大し、最終的には米国、中東、アジアでも事業を展開していきます。
EmbotechはAVM事業においてBMWと長期契約を締結し、世界中の自動車工場に同社のソリューションを導入していきます。2023年後半から開始され、すでに1日あたり数百台の車を最終生産ラインに自動運転で移動させており、2025年には1日あたり数千台にまで拡大する予定です。このソリューションは、既にBMWのドイツのディンゴルフィング工場とライプツィヒ工場で稼働しており、最近、レーゲンスブルク工場でも開始されました。Embotechは、市場で認定されたAVMソリューションを提供する唯一のベンダーであり、生産(製造)現場での導入実績を持つ企業として、業界で大きく認知されています。
BMWの新型車両は、工場の2つの組み立てラインを結ぶ1キロメートルのテストコースを自動運転によって走行し、最終仕上げラインに移動します。この間、きしみやガタつきなどがあるテストコースを完全に自動で走行します。EmbotechのAVMシステムは、工場の敷地内に市販のLiDARセンサーを設置し、自動運転機能を持たない車両でも自律走行が可能です。この技術はすべての車両に適応でき、生産量の増加や新たな生産レイアウト、工場の設備変更にも対応できます。BMWは今後この工場内自動走行システムを活用して年間数百万キロメートルの車両移動を目指しています。
BMWでは2つの工場間にある１キロメートルのテストコースを自動運転によって走行し、一連の検査を行なっている。 (photo/©BMW AG)
ATT事業ではヨーロッパ最大の港であるオランダ・ロッテルダム港で本格的に展開する準備を進めており、今後2年間で30台の自律型ターミナルトラクターの導入を予定しています。電動ATTには、複雑な交通状況下でも自律走行を可能にするEmbotechレベル4自動運転(AV)システムが搭載されています。自律型ターミナルトラクターは、LiDAR、カメラ、GPSを組み合わせ、あらゆる天候条件において障害物を検知し、5cm以下の位置精度を実現します。24時間365日稼働している港湾施設において、技術の信頼性と安全性を検証する厳格なテストを経て、現在、実用化の準備が整い、港湾施設内でコンテナを無人で輸送することが可能になりました。
ロッテルダム港での大規模な展開に向けて準備を進めており、今後2年間で30台の自律型ターミナルトラクター(ATT)を配備する予定。電動ATTにはレベル4自動運転(AV)システムが搭載されており、複雑な交通状況でも自律的に移動できる。（Photo/©embotech）
Emotechは、これら2つの事業部門で共有されたテクノロジーと安全プロセスを活用し、大幅な効率化を実現しています。この合理化されたアプローチにより、競合他社と比べて、より迅速なイノベーションと効率的な運用が可能で、様々な物流アプリケーションにおいてEmbotechの自動(自律)走行ソリューションは、大きなメリットをもたらします。24時間運用、柔軟なピーク対応、デジタル統合による効率性のアップにより、運用効率が向上します。この技術よって重要なプロセスを自動化することで、作業員が危険な業務に関わることを防ぎ、物流の安全性も向上させます。
さらにこれら高度に自動化されたソリューションは、世界的なドライバー不足への対応、総所有コスト（TCO）とCO2排出量を削減し、物流の未来を牽引するものとなるでしょう。
高度なモーションコントロール技術の開発で世界をリードする企業であり続けるナブテスコは、Embotechの基幹技術を高く評価し、協業の可能性を積極的に検討しています。このような取り組みは、自律型商用車の開発から一般的な産業用オートメーション製品やサービスまで、幅広い規模での展開が期待できます。
「高度なモーションコントロールアルゴリズムと最適化ソフトウェアにより、Embotechは、マーケットを牽引するポジションを確立しており、ナブテスコの技術力とこの分野における高い市場アクセスにより、今後、興味深いコラボレーションが実現することを期待しています」と、NTVのマネージングパートナーである練馬洋は抱負を語っています。
Embotech CEO アンドレアス・キルタトスは「シリーズBの資金調達ラウンドが完了したことを発表できてうれしく思います。これは、物流の自動化に革命をもたらすというEmbotechのミッションに対する信頼が深まっていることの証です。今回の投資により、素晴らしい投資家グループが当社に参加することになりました。これにより、当社はグローバルな存在感を高め、最先端の技術を提供し、産業用物流を、より安全で効率的かつ持続可能な未来へと導くことができるでしょう」。
Embotechについて
Embotechは、自動車工場における自動車両誘導(AVM)や、港湾ターミナルや物流センターにおける自律型ターミナルトラクター(ATT)に重点を置き、物流業界向けに最先端の自動(自律)走行ソリューションを提供し、高い評価を得てきたソフトウェア企業です。2013年より開発を続けているリアルタイム最適化技術を活用し、安全で信頼性の高い自律型自動輸送を実現しています。詳細については、www.embotech.comをご覧ください。
お問い合わせ
| Embotech Dr. Janine Van Stiphout | [email protected] +41 44 5522622 |
| Nabtesco Technology Ventures | [email protected] |